和歌山県では県立高校入試を来春から一本化することになったそうです。この時期での発表は、子ども達や保護者に動揺を与えるのではないかと心配です。公立高校の入試については、各府県とも翌春の要項を遅くとも10月中旬に正式公表なさるのですが、このような大きな変更は、かなり早めに知らせていただいたほうが良いだろうな、と思います。(公立高校入試については、各府県教育委員会のサイトで確認してくださいね。市立に関しても、高校入試は府県教育委員会サイトで分かります)
近畿の公立高校では特色選抜であったり、専門学科であったりの入試を前期として行い、一般入試を3月に行うのが普通です。二度のチャンスがあると言えるでしょう。 ですが、和歌山県では一本化に踏み切るとのこと、前期入試の不合格者が多いというのも、理由の一つのようです。
県立高入試、平成21年度から前後期制を廃止 和歌山
和歌山県教委は26日、県立高校入試の前後期制度を来春実施の平成21年度から廃止すると発表した。山口裕市教育長は16日の県議会で22年度の廃止を表明していたが、県議らの要望を受け1年前倒しを決めた。新入試制度の概要は10月10日、最終的な実施要項は11月中旬ごろに発表される予定。県教委は受験生の精神的負担を軽減できるとしているが、入試本番まで半年を切った時期の変更に対し、現在の中学3年生や中学教諭らに戸惑いが広がっている。
山口教育長は「文教委の総意で『改善を求める』と意見があり無視できなかった」と述べ、新制度では調査書、全受験生の学力検査(5教科各50分)に加え、各校で独自試験が導入されるとの見解を示した。独自試験を導入しない一部校や学科もあるが、面接や小論文、自己PRや体育実技などが課される予定で、各試験の得点比率などは今後、県教委と高校側の協議で決定するという。
県教委は19年度から、5教科の学力検査を2月と3月の2回実施する前後期制度を導入したが、前期の不合格者が多く、「受験生の精神的負担が大きい」などと批判があった。県教職員組合が廃止を求める署名活動を行っていたほか、県議会でも否定的な意見が多く、県教委は4月に制度改善の協議会を設置し、対応を話し合ってきた。
しかし、今回の入試制度で2回の受験機会が1回に減ることや、各高校の独自試験導入に備えた受験指導などで教育関係者や現在の中学3年生らの混乱も予想される。
和歌山市立日進中学校の男子生徒(15)は「今まで前・後期の対策をしてきたのに急に変えられて困る。もう1年猶予が欲しかったというのが正直な気持ち」と話し、同市立東和中学校の男子生徒(14)は「前期がダメでも後期で挽回(ばんかい)できるという気持ちの余裕があったのに、一本化されると怖い」と戸惑いを隠せない様子。また、新宮市内の公立中学校長は「すでに前期、後期の実施要項ができているのに、具体的な概要やいきさつがわからない」と困惑し、公立中学校の男性教諭も「調査書、学力検査、面接など採点基準の詳細を早く明確にしてほしい」と望んでいた。
文部科学省児童生徒課では今回の県教委の決定について、「和歌山県からの報告を受けていないので正式なコメントは出せないが、一度発表していた要項を変更するのは極めて異例」と話している。
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≪平成21年度からの県立高校入試制度の概要≫
・前後期制を廃止し、一般選抜に一本化
・前・後期で各1校だった出願先が1校のみに絞られるが、出願期間中に出 願先を変更できる
・各校が試験内容の配点比率を決定
・調査書、学力検査に加え、独自試験を導入(独自試験を実施しない高校や 学科もある)
・中高一貫校は従来の特別選抜を実施
・スポーツ推薦は従来通りで、一般選抜と同日程
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和歌山県教育委員会のサイト↓ http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500200/21seido.pdf