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「下流志向」

内田樹 著 2007年1月発行


今、話題の書です。この本のテーマは「学びからの逃走」だと書かれています。そもそもこの言葉は東大の佐藤学氏が使い始めた言葉で、エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」と同じく、教育を受ける権利から子ども達が逃げ出し、そのことに喜びや達成感を覚える状況を指しています。


学習習慣が身についていない子どもが大学生になれる全入時代。社会そのものが学力低下してしまっていて、周囲がその状況なので自覚ができない時代。わからないことがあっても調べないでそのままにしておくことが平気な学生。なぜ教育を受けないといけないの?という、昔の人なら絶句してしまう想定外の質問が子どもの口から出てくると著者は言います。学びの機会を構造的に奪われた人間になる可能性を考えもしない、自分が享受している特権に気付きさえしていない、というわけです。


教育をサービスと勘違いして、教育の買い手になろうとする子ども達(もしかして親も?)。対面的状況において自らを消費主体と位置づける状況が、小さい頃から身についてしまっている。コンビニではお金さえ持っていれば幼児でもお客様であり、その背後の労働を考えることもなく神様として扱われる。また買う価値があるとわかったモノしか買わないわけで、買う価値があるかどうかを買う前に判断しようとする。だからこそ「どうして字を習わなくてはならないの?」という質問が出てくると著者は解説しています。どのような利益が得られるか時間が経たないと分からないものを、今その意味が理解できないからやらないという現象がおきていると言います。教育に時間という概念を付与しているのが、内田樹氏の哲学者らしいところかな、と感じました。


授業という不快を値切ろうと学校へ来ているのであって、定価で買う気は無いけれどバザールへ来ている消費者の感覚を子ども達は持っているのではないか、とも語っています。不快感を沢山持っている人が勝ちで、家族内でさえ相手の存在の不快さに耐え、最大の不利益を蒙っていることを競ってさえいると書かれています。不快を申し立てるクレーマーは増加の一途です。


現代はリスク社会であり、そのリスクは階層ごとに濃淡があるということです。現実にはリスク社会であると認めざるを得ないような人がリスクを負い、リスク社会においても努力の成果を信じられる階層の人が、リスクを避け得ていると述べています。リスクを背負わない為に、いろいろな手を打っておくことが必要なのに、リスクを背負いやすい階層の人ほど、リスクヘッジを考えないようです。構造的弱者こそ相互扶助・相互支援のネットワークに属することが必要だということです。しかし今や自己決定論がもてはやされており、学びから逃走することで自己称揚感を持ち、階層下降を引き受けようとする子ども達が増えていると著者は危惧しています。(この辺りは、東大の教育社会学者、苅谷剛彦氏の著書にも書かれています)


ニートや意図的な非正規雇用といったような労働からの逃走についても著者は書いています。自己決定という言葉に踊らされて、構造的な不条理に組み込まれていっているケースもあるのではないか、と指摘しています。クリエイティブで遣り甲斐のある仕事といった「自己利益の最大化」を求める生き方はメディアに溢れているけれど、「周りの人の不利益を事前に排除しておくような」目立たない仕事も人間が集団として生きていくには不可欠な重要な仕事であることが、あまりアナウンスされていないということです(これは、私も全く同感です)。そして、ここにも時間という概念が導入されます。労働主体は他からの承認を得るまで、自らの主体性を確証できないということです。反対に消費は一瞬の間です。また労働というものはオーバーアチーブで、オーバーしたものは個人から社会への贈り物であり、これがあるから社会が存続すると書かれています。


第四章は対談形式になっています。いろいろ示唆的な内容が書かれていますので、皆で話し合う材料にもなりそうです。 ( ^^)人(^-^)人(^^ )

テーマ:子育て・教育
ジャンル:学校・教育
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