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公開シンポジウム「複数の言語と文化の交叉点」を聞いてきました。

11月10日(土)、梅田で開催された異言語間・異文化間家族学の公開シンポジウムを聞いてまいりました。テーマは「複数の言語と文化の交叉点 - 国際結婚家族の現在と未来」となっていました。http://wwwsoc.nii.ac.jp/iesj/relations/index.html

13:30~13:40本シンポジウム開催の主旨説明
13:40~14:05国際結婚家族の言語―子どもはみなバイリンガルになるか?
山本雅代(関西学院大学)
14:05~14:30国際結婚家族の子どもたち―文化的アイデンティティをめぐって
鈴木一代(埼玉学園大学)
14:30~14:55国際結婚家族への支援―多様化する問題への対応に向けて
石河久美子(日本福祉大学)
14:55~15:10休憩
15:10~16:30質疑応答および全体討議

上記のようなタイムスケジュールで開催されました。それぞれの先生が、                       言語・心理・福祉の各分野における研究成果についてお話くださいました。

まず山本先生の発表では、国際結婚家庭においてもバイリンガルは自然になっていくものではない、という知見が述べられました。家族間での使用言語、バイリンガリズムに対してそれをどのように自らが、また社会が評価しているかなどが大きく影響します。日ー英と日ー比(フィリピン)の家庭の状況に対する調査によって、どの程度、親が子どもをバイリンガルに育てようとしているかが明かされます。それには社会的な圧力というものも大きく作用するのです。言語選択に関して、                                                           言語環境的要因(集住度、教育的言語支援)、                                        社会文化的要因(文化間距離、価値体系)、                                        社会経済的要因(職業の機会増大、良い教育を受ける機会増大)、                                                        心理的要因(成長過程の反抗期など)、                                                              家族的要因(親の言語能力、長幼の順、親戚との交際)                                         といったものが大きく影響するそうですが、特に印象に残ったのは、カルヴェ(2000)の世界の言語の序列化といった事実でした(「言語帝国主義とは何か」藤原書店)。言語には英語というハイパー中心言語があり、その周囲をスーパー中心言語といった10余りの言語が取り囲み、またその周囲に100~200の中心言語というものがあり、その他4000~5000の周辺言語というものがあって、中心へと引き寄せられる引力が働いているというのです。周辺言語であっても、それを大切にすることによってオンリーワンというか、その人のスペシャルな部分になりうるのに、均一化へと向かうのは言語の多様性が失われ、残念なことです。 

次に鈴木先生によって、国際児といわれる子ども達について、文化的アイデンティティの形成についての研究発表がありました。まず補習授業校での研究により、5つの要因が大きく影響することが分かったそうです。それは①居住地(国)の言語・文化の優位性 ②親自身のもともとの志向性 ③子どもの言語・文化・教育についての親の考え方 ④家庭の経済状態や夫婦関係 ⑤子どもの個性・発達と親子の相互作用 です。                                           国際結婚家族の場合の文化的アイデンティティ形成に及ぼす要因というのは6つ挙げられ、それは①居住地(国) ②日本人の親の性別 ③両親の国(文化)の組み合わせ ④国際児の外見的特徴 ⑤家庭環境 ⑥学校環境 ということでした。 居住地と異文化を持つ親の文化の二つの間で、さまざまな葛藤があるようです。国際児の気持ちは、同じような立場の人でないとなかなか分かり合えないものだということもおっしゃっていました。                                  言語についても言及され、家庭内でのマイナーな言語の維持についても、芽を絶やさない努力はしておくほうが良い、と話されていました。本人が内発的な動機を持ったときに、とりかかりやすくしておくことは大切だそうです。また、言語は子ども自身がどう生きていきたいか、またどこで生きていきたいかによって決まってくるものであり、それも成長とともに変化していくものである、ともおっしゃっていました。

最後に石河先生の発表がありました。1990年の入管法の改正以来、ニューカマーと呼ばれる外国人が来日し、国際結婚家族や外国人家族が増加しました。それに従って、外国人の母親の育児不安、親子・夫婦のコミュニケーションギャップ、拡大家族(親族)との関係における問題、国際離婚、ドメスティックバイオレンス、児童虐待といった問題が顕在化してきました。しかし外国人妻の日本語力不足といった点だけではなく、日本社会にそういった多様化した家族に対する支援体制が整っていないのです。多言語・多文化サービスシステムの充実、日本語教育プログラムの拡充、行政職員や医療・福祉専門者の研修、市民に対する異文化理解講座、外国人に対する異文化理解講座など様々な対策を講じなければなりません。そういった役割を担う異文化間ソーシャルワーカーといった人たちを養成する必要性が喫緊の課題ではないか、と提案されました。

最後に吉備国際大学の新田文輝先生がコメンテーターとなって、御自分の経験も交えて総括してくださいました。

私が母語支援について質問しますと、それに山本先生が丁寧に答えてくださいました。また帰り際には、関学の大学院に通う素敵な中国人女性が、自身がなさっている中国語による母語支援のボランティアについて話しかけてくださいました。お互いに名刺交換をして、充実した気持ちで帰路につきました。

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