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「ことばを使いこなすイギリスの社会」

ケンブリッジ大学 ニュートン林檎の木の末裔
ケンブリッジ大学 ニュートン林檎の木の末裔(本文とは関係ありませんが)


山本麻子 著  2006年10月発行


カバーの裏に、「日本でも『国語力』というレベルを超えて、ことばを使いこなす力は、より重要なものになってくることが明らかである現在、日本語をめぐる議論にも重要な視座を提供する」と書かれています。 ことばを使って適切なコミュニケーションを取ろうとしているイギリス社会の様相を垣間見ることができる本です。


著者は1986年より在英で、1992年にレディング大学言語学科でPh.D.を取得し、現在レディング大学研究調査官です。


イギリスでのマナー                                                              イギリスでは店員に対しても必ずpleaseをつけるなど、どんな相手に向かっても相手を尊重する言葉を使うそうです。お金を払う側も売り手も、互いにThank youを言い合うような言葉遣いでスムーズな人間関係を図っているそうで、それは見習いたいと思いました。現在のイギリスでは多様性と敬意が強調されてはいますが、実際には多文化から平等・統合の方向に向かっているということです。イギリスでは議論が非常に尊重されますが、意見の違いがある時は、人前で互いが衝突するような議論の戦わせ方は避けられます。感情を伴ったような表現をせず、周囲の人を不愉快な気持ちにさせないような配慮をするということです。また意見・意向を聞かれるようなメールには即座に返事をし、すぐに答えられないことであっても、とりあえず受け取っているという返事はすぐに出すそうです。


イギリスの学校教育                                         今、イギリスでは国語(=英語)教育に非常に力を入れています。全国読み書き運動というのが実施されており、学校毎の評価も出されます。しかし作家達からは自分達の文章の抜粋だけが使われるとか、丸ごと一冊読むことの意義を説く人たちの意見も多く出されています。国語教育は読み書きだけではなく、話すことも教育現場で大切にされています。日本のような教室の机の配置の仕方は少数派で、子ども達が話し合いやすいような机の配置が工夫されています。「話すことによって学ぶ」という仕組みができているのですが、イギリスでは5,60年前に、そういうやり方への大きな変化があったということですから、日本もこれから変わっていく可能性はあるのではと思いました。


イギリスの教師                                          イギリスには全国的な教科書が無いそうです。教師達は自分でクリエイティブな授業を作り上げる努力をしており、日本のように教師用の虎の巻が無いことで、教師の創造性が育っていくとのことです。そして先生が努力をすることで子どもが良い作品を書いたり、作ったり、結果を出すと、それを校長先生に見せさせることによって、教師は校長からも認められ褒められます。またイギリスのある学校では入学時に配られる資料の中に「いじめ」についての記述が5,6ページあるそうです。イジメを見つける兆候を知らせ、学校の職員全体、保護者が協同して気付きを大切にしています。イジメへの対処方法なども書かれており、そのいずれについても常に「話し合い」と「議論」を通じてなされるとのことです。教師と親の会合でもケーススタディを通じた話し合いがされるそうで、興味深く感じました。また教師は音楽会などの発表をすべて一人で仕切り、それは周囲から大いに評価されるそうで、先生方のやり甲斐を高めています。


読み聞かせ                                            イギリスでは伝統的にベッドタイムストーリーという習慣があったのですが、最近の親は忙しさを口実に、あまりしなくなってきているという批判がでているそうです。また学校でもストーリータイムは、読み書きに時間を取られて減っていく傾向があるとのことです。しかしながら読み書きについても、あまり成果は無いという評価も出ており、真剣な議論がなされています。話し言葉でも乱れが出ていると言われています。しかしビジネス界では、学校卒業段階で話し方も書き方も正しく明瞭でない人は主流から外されるといいます。イギリスでもテレビやパソコンの功罪について議論されています。


母語とバイリンガル教育                                    子ども達の社会的スキルと言語スキルの低下が見られるそうで、粗野で下品になり昔の上品さや行儀が失われているといいます。親はできるだけ沢山のインタラクション(相互作用・交流)を持つべきであると著者は書いています。イギリス人は海外に住んでも母語を失うような子育てはしないそうです。バイリンガルということをそれほど重視しておらず、保守的な国だそうで、著者もバイリンガルの危険性を危惧しています。英語についてはネィティヴのようになるには、かなり時間がかかるし、また日本語についても十分に育てることは至難だといいます。しかし、親のインタラクションによっては長期にイギリスに住んでいても母語である日本語を育てることも不可能ではない例もあると書かれています。反対に渡英間もなくても母語が危うくなっている例もあるそうです。親の言語学習に対する知識や考え方が子どもに多大な影響を与えると著者はいいます。学校を日本人学校から現地校、現地幼稚園から日本人学校など、方針をころころ変えることは子どもに負担を強いることになるといいます。(バイリンガル教育については、子どもにより、家庭により、状況により、一概に言えないと私は思っています。転校も悪い例ばかりではないでしょう。親の関わり方も重要です。) なお、イギリスではリーディングマラソンや暗誦チャリティなどが盛んで、近所のコミュニティもそういった活動に協力的だそうです。


イギリスの教育の方向性                                    英国の教育は日本のような画一化の方向性にあり、また日本は個を大切にしようと方向性があるので、互いに学びあえることがあるのではないかと著者は言います。子どもに読み方を教える方法については、イギリスではいろいろな研究がなされており、そういった研究はしっかりとデータを集め、明確な結論を出し社会から厳格な評価を受け、それが積み重なっていっているそうです。


この本にはイギリスの現状が良いところ、悪いところを含めて記述されています。なかなか面白く読めましたが、いろいろな情報をどう日本の状況に生かしていくのかは、課題によってはなかなか難しいものもあるかもしれません。


いずれにしても、著者のバイリンガル教育の視点を知りたく、もう少し著者の本を読んでみるつもりでいます。





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