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フィンランドの教育に学ぶセミナーに参加

先週の土曜日、朝日教育セミナー「学力世界一のフィンランドに学ぼう」というセミナーに行ってまいりました。参加希望者が多く、抽選が行われたそうで、500人余りの参加があったようです。

第一部は都留文科大学教授の福田誠治氏が日本の教育とは対照的とも言えるフィンランドの教育についてお話くださいました。                                                  まず先生が最初におっしゃったのは、フィンランドにはテストが無いということでした。高校に入るまでは他人と比較するようなテストは無いそうです。少人数での教育なので、そういったテストもする必要が無く、一人一人の多様な学力を把握できるとのこと。進度の早い子どもには自主的に勉強させ、遅い子どもにはきっちりと個人授業的な授業をされます。国の教育政策のために、地域から抽出してのテストはあるそうですが、それは学力の低い地域に予算を回すといった施策を講じるためのテストだということです。社会的、経済的な条件での格差を教育に影響させないということが確固とした国の方針であり、一人の落ちこぼしも作らないということが、人口の少ないフィンランドには非常に重要だからでもあります。政府は現場にお金は出すけれども、現場でやり方を工夫するのはすべて学校と教員に任されており、教員は非常に質が高く、大変人気のある職種だそうです。

次にOECDが行ったPISA(Programme for International Student Assessment)のテストについて、フィンランドや日本、そして他の国の結果についてお話くださいました。このテストは読解力の分野、数学的リテラシーの分野、科学的リテラシーの分野の3分野の試験内容となっています。 参加した国々の教育の質を測ることができるような試験問題です。 それぞれの国が、これからすべきことを明確にできるようにしたものと考えて良いようです。                                                             

さて、落書きに関する2つの投書意見を読んで答える問題では、日本の正答率はかなり低いのですが、それよりも興味深いのは無答率の圧倒的な高さです。それに引き替え、アメリカは正答率は日本同様高くないのですが無答率は非常に低く、誤答率が大変高いのには、ちょっと笑ってしまいました。先生の解説では、日本人は曖昧な場合は答えずに逃げてしまうといったことや、文章で表現するのが苦手ということに加えて、自分と意見が全く違う人に対して「理解不能」と相手にしないといったことがあるのではないか、ということでした。    

科学的リテラシーの分野での日本の特徴は、「科学的証拠を用いて解く」といった旧来型の部分では依然と変わりなく正答率が高いのですが、「問題が科学的なものかどうか、迷信といったようなものではないか」を判断する力や、「どうしたら解けるか設問状況を作る」といった現代に必要な力が培われていないようです。同様のことは読解力においても顕著で「省察する」といった能力は高いのですが、「情報を取り出す」力や「相手との意見の違いを解釈する」といった能力が低いのが日本の子どもたちの特徴のようです。表現力が足らないといった従来の解釈をして教育していると、相手のことなど全く構わず、「論理」的な武装をして他人の意見を撃退してしまう人間を作り出しかねないと福田先生は危惧していらっしゃいます。どちらかというと、そういったアメリカ型のようなやり方よりも、違いを意識しつつ話し合って共同構築していくヨーロッパ型がこれからの「国境を越える」時代に必要ではないかということでした。

日本では唯一の正解を覚える教育になってしまっているのが理科嫌いや数学嫌いを生み出しているともおっしゃっていました。正解率が高いにも関わらず、理数を好まない生徒が多いのは大きな問題で、知識基盤社会にあって「なぜ」と問い続けていくような生き方が必要となってきているということでした。指示待ち労働者を作っている時代ではないとおっしゃっていました。

ゆとり教育からの揺り戻しが起こっている現在、そして以前は「偏差値」や「受験学力」に批判的だったマスコミ論調も1999年頃から一転してしまっている現在ですが、昔ながらの詰め込み教育を復活させることだけで、これからの時代をやっていけるのだろうかと先生はおっしゃっていました。

フィンランドは90年代初め頃から始まった大不況の時代を経て、またヨーロッパがEU圏となり人々が国境を越えて移動する時代を迎えて、教育観を大転換させて今日の素晴らしい結果が出てきたということです。                                                               日本も少子化時代を迎え、また同時にますますグローバル化した時代を迎えて、教育の現状をよく把握した上で、フィンランドの教育の本質を学ぶ必要がありそうです。

なお、当日は詳しいレジュメが配られました。茶話会でご興味のある方に回覧させていただきます。 

第二部は京都市立御所南小学校の二人の女性教諭による模擬授業が行われました。内容は大きく3つのパートに分かれていました。いずれも読解力に関する分野です。

まず1つ目は新聞に投稿された文章を読んで、それに「賛成」あるいは「反対」という立場を決めて文章を書く、というものでした。隣りの人とペアになってそれぞれの立場について話し合う作業をしました。一応、ジャンケンでそれぞれの立場を決めておきます。そのあと、「主張」→「理由・根拠」→「結論・主張」という形で文章をまとめることを教わります。                                                     「私は~に賛成です」「その理由は○○と○○と○○だからです」「確かに○○ということも言えるでしょう。しかしそれは○○です」「以上を考えると~に賛成です」                              といった流れにのっとって文章を作りました。そして、なんと、たまたまマイクが私にまわってきて、私がその意見文を発表ということになりました。座ったままなのでラクでした。ふだん、こんなブログを書いているからか、それなりには流れにのっとってまとめることができたので、先生からは「そのまま新聞に載ってもいいですね」なんてお誉めの言葉をいただきました・・・。                                     こういった意見文の書き方のパターンは、アメリカではごく普通に学ばされたことのように思います。toeflの筆記試験でも、このような書き方をすることが必要です。

2つ目のパートは「サーラのなやみ、みんなのなやみ」という文章を子どもたちが読んで、それに関して日野原重明さんと重松清さんの文章も併読して、子どもたち同士が話し合い、その後、なやんでいるサーラにお手紙を書くといった授業の紹介がありました。子どもたちの思考の深まり、子どもたちの個性が感じられるお手紙でした。

最後に御所南小学校の読書クラブについての説明がありました。どういう観点を持って読書をしていくかといった指針が、5つのカードにそれぞれ作られていて、大体、各学年用となっているようでした。それについては、やはり先生が新美南吉の童話を会場で読み聞かせしてくださり、どの登場人物に共感できるか、そしてそれはなぜなのかを会場の人達に質問なさるという形で実演してくださいました。

以上の模擬授業についてもレジュメをいただいております。また次回、茶話会に持ってまいります。                                             なかなか有意義な考えさせられる講演会でした。参加できて、大変有り難く思いました。                    

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